非日常
日常に飽きたらビジネスホテルに泊まろう(寄稿:pha)
この記事を読んで旅行の本質みたいなことを考えてしまった。リンク先に飛ぶのがだるい人のために説明すると元カリスマニートのphaさんが時々そこらへんのビジネスホテルに泊まって非日常を味わうってだけの話だ。これの何がすごいかというと彼の行動が旅そのものだからだ。
旅行の楽しさは日頃のテリトリーから離れる禁忌を犯すところにあると思う。人間が本来生物が不快に感じるはずの苦味や辛味を快楽のために食すのと同じく他の動物なら不快感しかないはずの自分のなかでの地元感があるテリトリーから逸脱して1番弱い状態である睡眠に入らなければならないことを快楽にしてしまうところにあるのではないか。
本来ならば、その違和感が強ければ強いほど快楽が増してきて違う言葉、違う食べ物、違う気候などに感じる違和感を楽しむものではあるけど実は家を離れるだけでこの快楽がそこそこ味わえるものだったりする。
ぼくは数年前に自分の家の上の階の排水管が漏水して家が水浸しになったから数日ビジネスホテル暮らしをしていたことがある。そのときは最寄り駅から4駅離れたビジネスホテルに泊まって暇だからどうせ暇だろう鉄男くんを呼び出して、ふだんなら2人ともテレビなんかみたいのにダラダラテレビ観ながらウイスキー飲んでグダグダ話してたのが妙に楽しかった。
友達の家に泊まるときとか親戚の家に泊まるときとかにも近いかもしれない。余談だけどぼくは夜更かしだから親戚の家に泊まってみんなが酔い潰れて寝静まったあとにこっそりリビングに戻ってきてテレビを観るのが好きだ。深夜のバラエティ番組なんか普段観ないのになぜかこのときばかりはすごく面白かったりする。
phaさんは近所で良いって言ってたけどやっぱり歩いて帰るのにはだるい距離まで離れたほうが良い。テリトリーの外に出たほうが非日常感は増す。逆に言えば南極でも家から100m先でも非日常感という意味では同じだ。でもやっぱり距離に比例して非日常感の倍率は出るものだ。せめて夜になって今さら帰ろうと思っても帰れないよなってくらいの距離はあったほうが良い。
phaさんもチェックイン後に昼寝するって言ってたけどこれは良くわかる。旅行のときチェックイン後にお風呂に入ってベッドにもぐるとなぜか軽い眠気がやってくる。若いときはせっかく旅行に来たのだからと無理矢理振り払って歩き回ったものだけど、この軽い眠気に乗って昼寝するほうが気持ち良いことに気がついた。おそらく旅疲れなのだろう。非日常は快楽でもありストレスでもあるのだ。このストレスがお風呂に入ってドバッと疲れとして出てしまうのだ。だけどそれのおかげで質の良い睡眠が手に入る。あんなに気持ちの良い睡眠は普段ではなかなか得られない。
小一時間の昼寝から目が覚めてあかね色になった空を眺めながら知らない街を散歩するのが好きだ。まるで太陽が家路につくのを見送るかのように知らない街を歩きながら今夜の夕食を品定めしつつブックオフがあるとぶらりと入って100円コーナーで中古のコンビニ本の漫画を買ってしまう。酒とツマミと漫画を抱えてすっかり暗くなった帰り道を街のネオンに照らされながらホテルまで帰る道も楽しい。
そこからまたお風呂に入ってから宴会スタートだ。お酒を飲みながらネットをやって漫画を読んで部屋の窓から夜景を眺めてループだ。自分の家でこれをやる以上に自堕落になれる。
夜景といえば、駅近くのホテルなら窓からその街のロータリーをボーっと眺めるのが好きだ。この街に住む人の生活を想像しながら自分もこの街にすんだらどうなるか妄想してみる。
くだらないことをしてツマミも尽きたところで0時を回り酒も尽きた。でもなんか飲み足りない。こんなときはホテル近くのコンビニに再度買い出しに行く。街の中心部にあるコンビニなら深夜はバイトしている地元の若い子がレジに立ってて客は観光客が多い。海外から来たひとだと海外旅行でしか味わえない非日常感がこっちまで伝染してきてなんか楽しい。
海外の人が日本でSAKEを飲みたくて鬼こ○しを手に取ってしまうのを見るとあーあと思うけど、もしかしたから自分も海外で同じようなことをしてるのかもしれない。台湾で飲んだ白酒が好きで日本でも同じ銘柄のものをたまに飲んでいるのだけど台湾とか中国の人に笑われるかもしれない。
ぼくはカップ酒一本とスルメみたいな太らなそうなツマミを買ってホテルに帰る。仮にそれで足りなくてもそれはそれとして明日も観光するのだからやめておく。体力が残ってたらそのあとお風呂にまた入っても良い。酔いがさめない程度に湯に浸かりリラックスして出る。大抵は気持ちよくて上がったあとに部屋着を着るところまでしか記憶がない。あとは気がついたらベッドで寝てしまっている。
朝起きたら朝食バイキングに行く。でもそんなに食べられない。だいたいがお粥と味噌汁くらいにしてあとは熱いコーヒーを飲む。そのあと部屋に帰ってチェックアウト時間ギリギリまで二度寝するのが好きだ。ホテルのふかふかのベッドでの二度寝はただの休みの日の二度寝とは違って格別だ、
phaさんのビジネスホテルの話に触発されてぼくもビジネスホテルの幸せをブログに書いてみた。ちなみに文体はphaさんのをモノマネしてみた。
旅行に行くと便秘になるし、枕が変わると眠れないし、旅はストレスだってはっきり分かる定住人間マンです。
返信削除それもなれだよ。海外行くとトイレ少ないから便秘は無敵モードとも言える。
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