クワガタ

寝ておきてまた寝ておきて。そんな生活に憧れるけど実際やっても確実に1ヶ月で飽きるだろうな。

犬猫は懐くけど爬虫類とか昆虫とかは懐かなくてただ慣れるだけだと言われる。まあ大抵は当たってる。

でもその昔、ノコギリクワガタをお迎えしたことがあって、その子には自分の手に蜂蜜をつけて食べさせていた。最初のうちは持ち上げると興奮して逃げようとしていたその子もだんだんと暴れなくなった。その部分は慣れだろう。

ある日、蜂蜜塗ったぼくの指を綺麗に平らげたクワガタくんはまだ食べ足りなかったのだろうか。ぼくの指を甘噛みと呼んで良いのか大顎で優しく何回か挟んだ。

その動きが可愛くておかわりの蜂蜜を食べさせてあげた。その日から毎日彼は甘噛みでもっておかわりを要求した。クワガタの記憶力がそんなに良いとは思わなかった。その子がたまたま天才クワガタだったのかもしれない。

それからは虫かごをスポンジで磨いていても向こうから近づいてきて手に大顎をスリスリしてきた。別の面に移ってもゆったり歩きながらこちらに近づいてきてまた大顎をスリスリしてきた。

ここまでくると間違いなく懐いていると断言出来る。

部屋に帰ってきたぼくの姿を虫かごの中から見つけると彼はガラスに遮られているにも関わらずこちらに全力でダッシュしてくる。虫かごの蓋を開けて指を差し出すと大人しく指にしがみつく。蜂蜜を垂らしてあげると美味しそうに舐める。

例え昆虫とは言え感情の通じ合えた存在との同居は楽しかった。彼が天国行へ旅立った冬の日は泣いた。マッチ箱で棺桶を作ってあげて近所の公園に埋蔵した。ネットがあるいまならもっと上手く飼えて長生きさせてあげることも出来たかもしれない。いまは本当に良い時代だ。


コメント

  1. 小学生の時、墓場で墓石を踏み台にしてノコギリクワガタを取ったことがある。
    人生でひどい目にあう度にあの時のバチが当たったんじゃいかと思ってる。

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    1. お墓に蜂蜜をお供えしてあげてください。

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